近代日本の歩みとコロンブスの卵
よく知られているコロンブスの卵の逸話。
今日では作り話ということが定説ですが、言わんとするところは良くわかる。
つまり、如何なる事でも、初めて行う人は偉大だということ。
そして先人が苦難の末に道を切り開き、後から続くものは多くの恩恵を受ける、ということだ。
近代日本の歩んだ道のりをなぞると、コロンブスの卵の話を思い出す。
黄禍(おうか)という言葉をご存知だろうか。19世紀から20世紀初頭にかけて日本と中国に対して列強諸国で広く用いられた言葉。英語ではYellow perilという。“黄色人種”による危険という意だ。
日系や中国系の大量の移民が低賃金で働き、白人の仕事を奪ったことや低賃金による安価なmade in Japan製品が市場に出回ったことも背景にあるが、日清・日露の戦争で日本が勝利し、初めて非白人の列強国家がうまれたことが最大の原因である。黄色人種の国「日本」の台頭は、白人にとっては“黄色いわざわい”だったのだ。
日本が通商する国、外交交渉する国のほとんどが白人国家だった当時、日本人はどんな思いで白人と交渉していたのだろう。肌の色で見下され、国際会議では虐げられ、そのくやしさ憤りはいかばかりだっただろう。天下に有色人種の国は日本しかないと言っていい状態の中で、偏見や差別と闘いながら生き馬の目を抜く国際社会に位置を確保するのは並大抵のことではなかったに違いない。
第一次世界大戦後のパリ講和会議で国際連盟の規約が定められたとき、日本はその中に人種的差別撤廃の規約を入れるよう提案している。日本人移民のためという側面はもちろんあったが、人種偏見を常に感じていた全ての日本人にとって、ごく自然な要求だったろう。
このおそらく歴史上最初の画期的提案は、全ての有色人種注視の中、激しい議論、駆け引きの末、多数決で可決された。しかし、アメリカ大統領ウィルソンの全会一致でないという強引な理屈で不採択となった。
このことは大東亜戦争の一つの側面、有色人種対白人につながっていく。
日本の大義名分は東亜の解放であったし、白人列強国家はその阻止が目的であった。
日本は敗れたが、日本が一石を投じ始まった有色人種解放の流れは、戦後、アジア諸国の独立という形で実現したし、国連憲章にも人種の平等が謳われている。
白人が支配する世界で、有色人種の日本人が苦闘の末に切り開いた道を、多くの有色人種国家が歩んでいるのは、我々の先人が残した偉大な功績ではないだろうか。
あとから、もっとこうすべきだった、結局は自国のためだった、などという輩がいるが、実際できはしないのだ。卵を立てられないのと同様に。
現実に成し遂げたことを評価し賞賛すべき。
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